英文法を勉強していると目にする「名詞句」という言葉。なんだか難しそうですが、名詞句とは一体どのような働きをするのでしょうか?
さっそく結論から申し上げると、名詞句とは2語以上の単語からなる名詞的役割を果たす「かたまり」のこと。一体、どのような働きをするのか、名詞句は英文の役割が気になりますよね。
そこで今回は元英会話講師の私が、英語の名詞句について分かりやすくまとめました。名詞句が理解できるようになれば、単語単位ではなく「かたまり」ごとに文構造を理解することができます。
英語学習中の方や、これから英語を効率的に学習したい方はぜひ参考にしてください。
本記事で分かること
・英語の名詞句とは?
・名詞句の勉強法3つ
・名詞句の間違いやすいポイント
・名詞句に関するQ&A!
英語の名詞句とは?
名詞句とは、文中で名詞の役割をする句のこと。句とは、2語以上のまとまりからできる集合体のことで、名詞句は「まとまり」として名詞の役割を果たします。
ここでは、名詞句の概要と名詞句を使った例文についてみていきましょう。
名詞句の概要
名詞句には、
- 冠詞+名詞
- 形容詞+名詞
- 不定詞の名詞的用法
- 動名詞
- 形容詞句を伴う代名詞
があります。それぞれの概要を下記の表にまとめました。
冠詞+名詞 | the boy (その男の子)など |
形容詞+名詞 | the beautiful flower (その美しい花)など |
不定詞の名詞的用法 | To play soccer is fun (サッカーをすることは楽しい)など |
動名詞 | Playing soccer is fun (サッカーをすることは楽しい)など |
形容詞句を伴う代名詞 | The boy running in the park is Tom (公園で走っているその男の子はトムです)など |
「形容詞句を伴う代名詞」について補足すると、形容詞句を伴う代名詞とは、代名詞のあとに形容詞が来るもののことです。たとえば上記の
The boy running in the park is Tom.
(公園で走っているその男の子はトムです)
という例文であれば「The boy 」という代名詞に「running in the park」がかかり「The boy running in the park」で1つの名詞句を作っています。

ちなみに、このrunningのことを「現在分詞」と言います。分詞構文については下記の記事を参考にしてくださいね。

名詞は、名詞・名詞句・名詞節を問わず、文中では主語(S)、目的語(O)、補語(C)になります。したがって、不定詞の名詞的用法、動名詞、形容詞句を伴う代名詞も、同様に文中でS・O・Cに来ることになります。
例えば不定詞の名詞的用法であれば、
To play soccer is fun.
(サッカーをすることは楽しい)
She wants to buy the bag.
(彼女はそのバッグを買いたい)
Our hobby is to collect stamps.
(わたしたちの趣味はスタンプを集めることだ)
となり、この場合、
- To play soccer(サッカーをすること)が主語
- to buy the bag(バッグを買うこと)が目的語
- to collect stamps(スタンプを集めること)が補語
となっています。
名詞句の例文
ここでは名詞句を使った例文をご紹介します。名詞句が必ず「主語(S)、目的語(O)、補語(C)」の位置に来ていることを確認してみましょう。
I know the news.
(わたしはそのニュースを知っている)
She thought it difficult to read this book.
(彼女はこの本を読むことが難しいと思った)
Seeing is believing.
(見ることは信じることだ)
She expected to happen this accident
(彼女はこの事故が起きることを予想していた)
I like to play soccer.
(わたしはサッカーをすることが好きだ)
She is interested in learning English.
(彼女は英語を学ぶことに興味がある)
I am planning to go to Hawaii next year.
(わたしは来年ハワイに行くことを計画している)
名詞句の勉強法3つ
名詞句という分野はそれ自体が試験などに問われる訳ではありません。ただし、名詞句の概念をきちんと理解することで、英会話などにおける文法的ミスを防ぐことができます。
名詞句を効率的に習得するには、下記の勉強法を試してみてください。
名詞句の勉強法
・名詞の役割を理解する
・多くの例文に触れる
・名詞句の英文表現を使う
ここでは名詞句の勉強方法を3つご紹介します。
名詞の役割を理解する
まずは「名詞句とは何か?」を正しく理解しましょう。
名詞句を理解するためには、名詞の役割それ自体を理解する必要があります。名詞は文中で、主語(S)、目的語(O)、補語(C)になります。これらを用いた文型(第1文型~第5文型)についても理解をしておくことで、名詞句の例文も理解しやすくなるからです。

ちなみに名詞句は英語で「noun phrase」と言いますよ!
また、名詞のほかに形容詞の役割についても理解をしておくことで、さらに勉強が進みやすくなるでしょう。
多くの例文に触れる
名詞句について正しく理解ができるようになったら、なるべく多くの種類の例文に触れていきましょう。「名詞句」が指し示すものは種類がとても多いため、時間をかけて行うことが大切です。
例文に触れるときは
- 目で見て触れる
- 耳で聞いて触れる
という2つの方法で行いましょう。どちらか一方になってしまうと、英語の4技能(話す、聞く、読む、書く)をバランスよく鍛えることができないからです。

読んだり聞いたりする作業は「インプット」に、話したり書いたりする作業は「アウトプット」にあたりますね。まずはインプットから始めましょう!
またリスニングにおいては「とにかく英語のシャワーを浴びましょう」というアドバイスもありますが、意味の分からない英文を何度聞いても理解できるようにはなりません。
意味のある、内容を分析した文章を何度も聴くことで、初めて理解が深まります。
そのため例文に触れる際には、名詞句がどの部分なのかを意識して、必要に応じて文構造や文型をを分析したうえで、何度も聴くことがポイントです。
名詞句の英文表現を使う
名詞句を使った英文をインプットしたら、次はアウトプットの練習をすると良いでしょう。自力で英文を書くこともアウトプットですし、英語を口に出すのもアウトプット。
スピーキング力向上のコツは、多くの例文を頭に入れてそれを使っていくことです。理解はしている、頭には入っているという状態でも、実際に使うと難しいもの。

この表現は英会話で使えそうだな!
というものがあれば、メモを取っておくなどして覚えるようにしましょう。
名詞句の間違いやすいポイント
名詞句の間違いやすいポイントとして「名詞節との違い」が挙げられます。

名詞句・名詞節に限らず、他の品詞でも言えることですが、句と節の違いをしっかりと押さえておくようにしましょう。
名詞句とは、2語以上の名詞の働きをする「まとまり」で主語と動詞の構造ではないもののこと。
一方、名詞節は2語以上の名詞の働きをするまとまりで主語と動詞の構造を持っています。
名詞句=主語と動詞ではない名詞の働きをするかたまり
名詞節=主語と動詞をもつ名詞の働きをするかたまり
名詞句も名詞節も名詞の働きをしますので、どちらも文中で主語・目的語・補語となります。
名詞節の例としては、
- 名詞節を導く従属接続詞
- 関係代名詞what
が挙げられます。例えば
I think that he is kind.
(わたしは彼が親切だと思う)
What he said is true.
(彼が言ったことは正しい)
など。前者が名詞節を導く従属接続詞、後者が関係代名詞whatとなります。前者は、that he is kindがこの文の目的語に、後者は、What he saidがこの文の補語になっていますね。
名詞句に関するQ&A!
ここでは名詞句に関するQ&Aをご紹介します。
質問 疑問詞+to不定詞とは何ですか?
不定詞の名詞的用法に関連するものとして「疑問詞+to不定詞」というものがあります。疑問詞とは5W1Hのことで、what(なに)、who(だれ)などのこと。
疑問詞に不定詞がつくと、疑問詞の意味に応じて意味が変わります。そして、どの疑問詞であっても「疑問詞+to不定詞」で、1つのまとまりとして文中で名詞の働きをします。たとえば、
Could you tell me what to do next?
(次に何をすべきかを教えてください)
は「名詞句」となり、what to do nextがこの文全体の目的語となっています。
質問 「the+名詞」と「a/an+名詞」の違いは何ですか?
「the」を定冠詞「a/an」を不定冠詞と言います。文字通り、定まっている・特定されている場合には「the」を、定まっていない・特定されていない場合には「a/an」を用います。

例えば「please give me a plastic bag」なら「(何でも良いので一つ)レジ袋をください」となります。一方「please give me the plastic bag」の場合は「(その)レジ袋を一つください」という意味になりますね。
質問 名詞は前置詞の前にも後ろにも来るのですか?
はい。名詞は前置詞の前だけでなく後ろにも置くことができます。
たとえば、
She is interested in learning English.
(彼女は英語を学ぶことに興味がある。)
では、前置詞「in」の後ろに動名詞が来ていますね。
名詞句をしっかり習得しよう!
今回は英語の名詞句について解説しました。
名詞句を理解するには、名詞の役割を理解することが大切です。名詞句をきちんと理解すれば、形容詞句や副詞句についてもスムーズに理解できるようになります。
ぜひ本記事を参考に名詞句をマスターして下さいね。